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「待機児童問題と地域コミュニティ」プロジェクト

吉岡ゼミ有志

待機児童問題への行政の取組み・地域の関わりについて調査

本プロジェクトでは、「待機児童問題と地域コミュニティ」というテーマのもと、待機児童問題について積極的な取組みを行っている東京都目黒区役所と、世田谷区で地域住民として保育所設置計画に関わった太子堂2・3丁目まちづくり協議会で、ヒヤリング調査を行いました。

調査のきっかけとなったのは、保育所について騒音問題として反対運動や訴訟が起こることがあるということを報道などで知り、興味を持ったことでした。「子育てには社会全体で取り組むべきという認識が広まるなか何故そのような問題が生じているのか」、私たちはこのような疑問を解決するために研究を始めました。

しかし、インターネットや新聞記事、文献の調査だけでは、疑問の解決のために限界があると感じるようになりました。私たちは、問題の理解をより深めるために、保育所をめぐる問題が集中的に発生している東京都を調査地に設定し、ヒヤリングなどによるフィールドワーク調査を行いました。

目黒区役所へのヒヤリング調査

吉岡ゼミ有志

待機児童問題に取り組む自治体として、東京都目黒区の方にお話をうかがいました。目黒区は、住宅街が多く、仕事がしやすくかつ生活がしやすい地域であるため、未就学児童を含め人口が増加してきているという特徴があります。

目黒区では、廃校となった学校の校舎を保育所として活用したり、区役所の敷地の一部を保育所用地として貸し出すなど、待機児童問題の解決に向けて、区としての意欲的な取組みが行われています。

区の職員の方へのヒアリングでは、株式会社などによる私立保育所の運営についての行政の考え、保育所設置の際の周辺住民との調整のあり方、保育所の設置や保育の実施に関する区としての今後の見通しなどについて、事前の調査では分からなかった詳しい話をうかがうことができました。

保育所設置への地域コミュニティの関わり

吉岡ゼミ有志

保育所の建設と地域コミュニティの関わりに関して、世田谷区太子堂地域の住民団体(太子堂2・3丁目まちづくり協議会)の方にお話をうかがいました。

太子堂地域では、私立保育所の新設にあたって住民からの強い反対が起こるという問題が生じたことがありました。この保育所については、保育所側と住民、行政が積極的に話合いを行い、問題を解決するための改善策の検討を経て、建設・開園に至りました。現在では、保育所と太子堂地域の住民の間に良好な関係が築かれているということです。

この保育所については、保育所の騒音問題として新聞等では報じられました。しかし、住民団体の方にお話をうかがう中で、保育所設置に関する議論の中心となったのは保育所の騒音ではなく、園児の安全の確保策や保護者の送り迎えの方法が課題となったとのお話しをうかがいました。保育所設置をめぐる問題には地域ごとに様々な原因があり、多面的に問題を捉える必要があることがわかりました。また、地域住民が主体的にまちづくりに関わる地域コミュニティの重要性を感じました。

フィールドワーク調査を通じて

私たちは、保育所設置に関して、当初、騒音問題に重点を置いて勉強を始めました。しかし、調査を進めるにつれて、待機児童問題が、就業形態の変化やそれに伴う人口の都市部への集中、核家族化といった、大きな社会的背景のもとで生じた問題であることが分かりました。

そして、一面的な対策では根本的な解決にはつながらないこの問題について、企業、行政、住民がどのような関わりを持ちながら取り組んでいくべきなのか、私たちなりの解決策についても考察することができました。

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