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Graduate School of Law

法学研究科

研究科長メッセージ

「専門性」を高めるための「研究能力」

法学研究科長

法学研究科は、法学・政治学の専門領域にかかわる研究者と専門職業人の養成を目的としています。研究者であれ専門職業人であれ、それぞれ「専門性」と、それを発揮するための「研究能力」を身に着けることが、研究科では要請されます。学部教育(学士課程)とは異なり、当初は必ずしも十分ではないとはいえ、研究者として、学び、真理を探究するという自律した姿勢をもって研究を進めてもらいたいと思います。

広い視野を持った研究を

一言で「研究能力」といっても、これを語るのは容易なことではありません。社会科学の一領域としての法学・政治学を学ぶにあたっては、その対象が社会現象であることを前提として、その「研究能力」の一つの側面をみておきましょう。  私が専門としている憲法では、日本国憲法はその一つの対象です。しかし、日本国憲法の研究をするといっても、ほとんどの研究者は、諸外国の憲法と比較しながら、日本国憲法を相対化することを意識的に行っています。違憲審査制一つとっても、アメリカ型、ヨーロッパ大陸型など、それぞれの国や時代によってあり様が異なっています。違憲立法審査制はアメリカで19世紀末に判例によって確立し、20世紀になって発展したといわれています。その発展には、世界恐慌後のニューディール政策をめぐる憲法論が大きな役割を果たしました。他方で、ヨーロッパでは、第二次世界大戦後になってようやく制度化されたにすぎません。それは、裁判所が統治機構の中で置かれた非民主的な性格が影響したといわれています。これらとの比較の中で、日本国憲法の違憲審査制をどのように理解すべきかの議論が行われます。
このように、現行法の理解(解釈)を行うにあたって、同時代だけではなく、歴史縦断的な視角を持つことは、研究を豊富化するために必要なことです。さらに、社会現象は、法や政治だけではなく、それに影響を及ぼす経済学や社会学などの隣接社会科学にとどまらず、心理学や教育学などの人文科学の知識も軽視することはできません。法や政治は、何よりも人々の意識と不可分であるからです。加えて、科学技術の進歩にあわせて、自然科学の知識も必要な場合があるでしょう。法学・政治学を狭い範囲でとらえるのではなく、あらゆる科学的知識を貪欲に追究する姿勢をぜひ持ってもらいたいと思います。

研究と倫理

研究を進める上で、皆さんに考えておいてもらいたいことがあります。研究者の不正行為が時にマスコミを賑わせたりします。研究の不正は、真理を歪め、その結果、社会にも悪影響を与えることがあります。データ改ざん、他人の研究成果の無断利用など、決して行ってはいけません。当たり前のことですが、改めて繰り返して置きたいと思います。さらに、近年、軍事研究をめぐる議論が行われています。特にデュアルユース(軍民共用)の技術開発が許されるのか。自然科学と違い法学や政治学は軍事研究とは関係ないと思われるかもしれません。しかし、いま行っている研究が、社会にどのようなインパクトを与えるのか。その結果、自分の想像を超えて悪用される可能性はないのか。このことは常に念頭に置いてもらいたい点です。
ブレヒトが『ガリレイの生涯』で、研究が自己目的化し権力に利用されたことを批判的に描き、科学の目的は民衆の暮らしを楽にすることだと記しています。自由に、広い視野を持って研究を進めるためにもこのような視野を持ってほしいと思います。

2018年4月
法学研究科長 丹羽 徹

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