研究室紹介

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<ごあいさつ>

浜中ゼミナールのHPにようこそ。このゼミでは比較政治学・中東政治に関する教育・研究を行っています。

研究室では政治科学の手法を用いて、人々をとりまく政治現象や社会現象を分析し、説明します。

 

ここで言う政治科学とは、政治学理論から作業仮説を導出し、数量データを収集して計量分析(統計分析)を行い、仮説を検証する方法のことです。

(一見、理工学(Science)で用いられる方法に似ているので、PoliSci—「ポリサイ:Political Scienceの略称」と呼ばれることもあります。なお龍大法学部でポリサイをやっているのは私だけです。)

 

一例を挙げると、中東地域は世界で最も民主政治から遠いと考えられています。この地域には20ほどの国家がありますが、そのほとんどが権威主義体制であり、民主的な政治体制を持つ国はごくわずかしかありません。

それは頻発する戦争のせいなのか、石油に依存する経済のせいなのか、それともアメリカやロシア・中国といった大国の覇権争いに巻き込まれているためなのかをデータから検証します。

 

2018年度までゼミの学生に政治科学手法の修得を要求しませんでした。

しかし2019年度以降の学生たちはデータサイエンス手法を学び、さらに一部は研究室型の運営(教員の研究テーマに沿った卒業研究をするスタイル)に参画しています。

研究室型運営が上手くいっているので、今後の浜中ゼミ生には演習Iでデータサイエンス手法を学ぶことを要求し、研究室型運営か従来型運営かを選ぶ形で指導します。

 

科学的手法のスキルは語学と同じで修得の必要性を感じた人自身が自己訓練しないと身に付かないので、自助努力できる人に来て欲しいです。

また「イスラームって暴力的な解決方法を肯定する宗教なのだろうか?」とか「大統領が憲法を逸脱するような統治に訴えるのはなぜだろうか?」といった実体的な問い(substantive question)に取り組みたい学生も歓迎します。

(実体的な問いは理論構築に貢献しないことが多いので、政治科学的には面白くありません。しかし、学部学生にとっては自分が面白いと思う問いに取り組むのが一番でしょう。)

このゼミナールは広い意味では「アジア政治論」に属するので、中東政治(西アジア)になじめない学生は東アジア、南アジア、中央アジアなどから研究テーマを選んでも構いません。

またフィールドが欧州や日本などの先進国でも、ムスリム移民が関与していたり、投票行動などのポリサイに親和性が高いテーマ(であり他ゼミで対応が難しいもの)であれば、このゼミナールで引き受けます。

 

なお龍谷大学に来てからのゼミ生は実体的な問いに資料等を分析する伝統的なアプローチで研究していましたが、前述のように2019年以降のゼミ生はポリサイをやっています。

(基本的にこれからはポリサイのゼミ、少なくともリサーチ・デザインを強く意識した比較政治学のゼミとして進めていくことにします。)

ポリサイの卒論は山形大学勤務時代ならば「徴税というトリガー」「亥年現象のメカニズム」「エジプト民主化革命における補強効果仮説の検証」がお勧めです。

龍谷大の学生のものとしては令和三年度卒業以降の卒業論文がサーベイ実験データを用いた本格的な計量分析を行っています。

 

政治系ゼミナールを考えているみなさんへ、浜中ゼミで比較政治学をやってみませんか?

 

<ゼミナール活動(演習)について>

私は大学教育においてゼミナール活動をもっとも重要視しています。私は海外で大学院教育を受けたことがあり、そこでは研究指導にチュートリアル(Tutorial)という方式が採用されていました。

 

チュートリアルでは私の問題関心に応じて指導教授がアドバイスを与え、リーディングリストを作成しました。このリストに沿って文献を読了し、内容についてディスカッションしました。

留学先の指導教授は労働政治がご専門だったので、フォローできない分野は学内外の研究者との面談を設定してくれました(他大学の研究者の自宅を訪問したこともあります)

指導教授はスーパーバイザーの役割を果たしたことになります。

 

チュートリアルの最終評価は作成した論文に対して行われました。日本に帰国後にチュートリアル論文を作成し、提出したことで単位を取得できました。

この時の経験を生かし、私はゼミナール活動の個別指導をチュートリアル方式にしています。

 

<在籍学生の特徴>

ゼミを選ぶときに在籍する先輩から話を聞くことが多いかもしれません。現在、浜中ゼミの学生は各学年1名しか居ないので、自力で見つけることは不可能に近いかもしれません。私に連絡してくれれば、しかるべき先輩学生を紹介します。

 

令和3年度以降の既卒の学生および在籍生に限ると、次のような特徴があると思います。

・実直で自己学習能力がある:最も重要な資質。

・大学受験時に数学受験をしている:抽象的な事柄を考え抜く能力として重要。

・世界史の知識がある:受験用の知識というよりは、古典教養として。

・大学院生が多い:内部進学者と外部入学者の両方が居て、学部生と交流。

 

<就活への効果>

私は演習での学びが卒業後の進路にも良い影響があると考えています。

一つ目の理由はデータサイエンスの重要性です。演習では初歩レベルですがデータサイエンス(R言語)を学ぶことになります。データサイエンスのスキルは他の文系学部生との差別化に役立つでしょう。

二つ目の理由は勤勉さです。近年の就活では文系学部よりも理系学部の出身者がより好まれるようになっています。これは理系学部の学修がハードであり、卒業研究の要求水準も一般的には文系学部のそれより厳しいためでしょう。

浜中ゼミの学修は、希望すればそれなりにハードになり、結果として相応に高いレベルの卒業論文を書くこと(を強いられること)になります。

三つ目の理由は語学力です。演習・研究室での使用言語こそ日本語ですが、扱う文献は3回生以上だと英語で書かれたものが多くなります。毎週、英語の政治学研究論文を読んでいれば、結果としてそれなりの語学力がつきます。

他の条件が同じなら、一般的な大企業はよく勉強している学生を採用しようとします。上っ面だけの「コミュ力」が高い学生よりも、実直で学習能力の高い人の方が良い企業人になれるでしょう。

 

研究室の受け入れ方針について  大学院への進学を考えている皆さんへ  龍谷大学で政治科学(ポリサイ)を学ぶには

 


龍谷大学法学部・法学研究科ゼミ所属学生の論文

(注)下記の論文を閲覧することは自由ですが、引用はご遠慮ください。

卒業論文は指導教員、修士論文は主査と副査の審査を経たものではあるものの、学術論文における査読とは異なります。

本学・他大学の学部学生・大学院生が参照する先行研究としての水準を満たしているとは言えません。一方で下記論文を剽窃する行為は厳に慎んでください。

 

修士論文(法学研究科・令和五年度修了)

「長期化する権威主義体制を支える要因:トルコにおける現政権への支持構造」(本文) (要約)

 

卒業論文(法学部・令和五年度卒業)

「リベラルなヨーロッパの社会とその「敵」?:「リベラル故の排外主義」の実証的研究」

 

修士論文(法学研究科・令和四年度修了)

「権威主義体制下シリアの国家再建像」(本文)  (要約)

 

卒業論文(法学部・令和四年度卒業):親和会・学部教育賞を受賞

「最も優れた陽動手段は何か?:イスラエルでのサーベイ実験データより」

*英語版が「計量・数理政治研究会」の冬期研究大会で報告されました。

 

卒業論文(法学部・令和三年度卒業)

「COVID 19 感染拡大が与える政権支持率への影響〜トルコ共和国の事例より〜」

「COVID-19が紐解く社会の姿―日本とイスラエルのサーベイデータ分析を経て―」

「測れそうで測れないイスラエル・ロビーの「 魔の力 」-イスラエルでの世論調査 を基に」

 

卒業論文(法学部・令和元年度卒業)

「政軍関係論の理論的発展に向けて:イエメンとレバノンの市民社会から」

「パワーシフト理論で「戦争の方程式」に欠落した条件を導き出すことは可能であるか」

「堅牢たる権威主義:シリアにおける権威主義体制存続要因を探る」

「移民政策におけるドイツの成功は類似性の多い日本においても適応され得るのか」

「産油国におけるムスリマの労働参加の考察:レンティア国家論の限界」

 

課題研究論文(法学研究科・平成30年度修了)

「スウェーデンの移民/難民政策をめぐる比較政治研究」

 

卒業論文(法学部・平成30年度卒業)

「中東のムスリムとレインボー・フラッグ」

卒業論文(法学部・平成29年度卒業)

「初代首相ベングリオンのイスラエル防衛構想」

 

卒業論文(法学部/政策学部・平成28年度卒業)

「沖縄基地問題における翁長雄志の政治的立場の変遷について」

「地方創生に求められる政策とは:滋賀県の政策を基に」

「沖縄の米軍基地問題における政策選択の合理性についての検証」

「フランス人ムスリマのヴェールと表現の自由」

「琉球独立論の理論的検討:沖縄はエスニック共同体/ネイションであるのか」

「中国連邦制に関する議論の検討」

「フィンランドの歴史教育における対ソ連外交の変遷:1950年代と現代の歴史教科書比較から」

 

山形大学勤務時代(2002.62016.3)のゼミ所属学生の論文

卒業論文(地域教育文化学部・平成27年度卒業)

「日本人の宗教意識と代表制デモクラシーへの信頼の関係性」

「徴税というトリガー」

 

卒業論文(地域教育文化学部・平成26年度卒業)

「亥年現象のメカニズム:選挙疲れによる投票率低下仮説の検証」

「不正選挙の研究:山形県の統一地方選挙に関しての検証」

 

卒業論文(地域教育文化学部・平成25年度卒業)

「エジプトにおけるSNS仮説の検証」

「エジプト民主化革命における補強効果仮説の検証」

 

卒業論文(地域教育文化学部・平成23年度卒業)

「日独における環境及び原発に対する意識の差違」

「内閣の持続と崩壊の要因分析」

「宗教と政府への信頼の関係性」

 

卒業論文(地域教育文化学部・平成22年度卒業)

ミクロデータを用いた第3子出生要因の検証

母親の学歴別に見た子ども数に関連する政策的焦点の違い 

フランス・スウェーデンの出生率下げ止まりの要因分解 

リビアはなぜ核放棄に応じたのか?

 

修士論文(大学院教育学研究科)

「国際システムの構造変動に対するネオリアリズムの理論的有効性の検証」(平成18年度修了)

○ 「韓国における地域主義の溶解と変容―争点選挙における新たな対立ー」(平成18年度修了)

 

卒業論文(教育学部)

「レーガン政権期の国家安全保障会議の役割」(平成16年度卒業)

「無党派知事誕生の諸要因」(平成16年度卒業)

「韓国における民主化諸要因の検討」(平成16年度卒業)

〇「山形市を中心とした市町村合併の動向について」(平成15年度卒業)