法に関する悩みを抱えているが、法律家や公的機関に相談するのはハードルが高い。
そうした市民の方々を対象に、学生が大学での学びを活かして法的なアドバイスを行います。
小林 峻明さん
2年生(新潟県 新潟産業大学附属高等学校 出身)
杉山 勁太さん
2年生(大阪府 大阪教育大学附属高等学校平野校舎 出身)
波多野 大空さん
1年生(高校卒業程度認定試験)
衣笠 翔也さん
3年生(大阪府立大塚高等学校 出身)
消費者トラブルや交通事故、相続、労働問題など、多くの人は大なり小なりさまざまな悩みを抱えています。しかし、法律家や公的機関に高い壁を感じ、相談することを躊躇している人も少なくありません。その結果、訴訟問題や損害賠償請求の解決が遅れるといった問題や、ストレスを抱えたまま日常生活を送っているという事例がたくさんあります。そうした市民の方々や学生を対象に、私たちは、法学部の先生方の指導のもとで法律相談を行っています。また弁護士や司法書士などの職業で活躍されている卒業生のご協力のもと、大学を飛び出してさまざまな土地で「巡回無料法律相談」を実施しています。大学での学びを各地の方々にも還元できるまたとない機会に、自分たちの知識を人のために役立てられる喜びを感じます。こうした相談会や日常的な勉強会をとおして、同じ道を志す仲間と切磋琢磨しながら法律の知識を深化させられることが、この活動に参加する最大のメリットかもしれません。
この活動のテーマは、大きく二つあります。一つ目は、学部で学んでいる法の知識をより実務的な場面で活用し、学びの成果として地域社会へ還元すること。二つ目は、法律相談をとおして教科書には載っていない、さまざまな事例に触れることです。相談者のリアルな悩みや地域の問題と向き合うなかで、自分自身の課題を見つけ出し、今後の学修や研究に活かします。また、実務家として活躍されているOB・OGの方々と協働し、共に解決策を探るなかで、より実務に近い知識が得られ、理論や法律のつかい方への理解が進みます。さらに、相談者にも丁寧な対応が求められるため、他者に対することば遣いや立ち居振る舞いといった、法律以外の社会的なマナーも身につきます。
無料で相談に応じているのも、この取り組みの大きな特徴です。費用面の心配がいらず、しかも法律家より身近な学生なら、身構えることなく悩みを打ち明けられるでしょう。このような気軽に相談できる場所を活用することで、法律相談へのハードルが下がり、さまざまな困りごとを法律家や関係機関に相談しやすくなるはずです。しかし、学生相手だからといって簡単なことしか相談できないのでは意味がありません。守秘義務や相談活動におけるマナー、社会の動向、よく相談される内容などについても日頃からしっかりと勉強し、この取り組みの質を向上させる努力をしています。
普段から相談者の悩みを解決している実務家の方々と一緒に活動することで、実務的な思考や知識を得られるだけでなく、法の専門家として働く未来の自分を明確に描けるようになりました。相談に応じる過程でも、傾聴力や伝達力が養われ、コミュニケーションスキルも高まったと自負しています。相談に来られる方々は、自分たちでは解決できない切実な悩みを抱えておられます。相手の目線で考えて気持ちに寄り添い、一緒に解決をめざすことはもちろん、どうすればそのような問題に直面せずに済むのか、問題を未然に防ぐ術や心得も考えながら、社会貢献の一助を担えればと考えています。
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法政アクティブリサーチは、学生が興味をもった社会課題を実際に社会に出て調査し、解決策を研究する学生主体の教育プログラムです。課題に対する疑問や解決策をクラスの仲間と共有し、さまざまな視点から意見を出し合い掘り下げます。教員の指導のもと、研究の成果を学外に発信します。
福井 彩花さん
2年生(京都府 大谷高等学校 出身)
中尾 真菜さん
2年生(奈良県 橿原学院高等学校 出身)
法政アクティブリサーチのクラステーマは、①「多文化共生社会への取り組み」②「かおり・においと環境」③「コミュニティ FM と地域活性化の可能性」④「日本における女性のキャリア形成」⑤「現代の家族を巡る問題」に分かれています。学生は興味のあるテーマを掲げるクラスを選択し、仲間とともに地方自治体や企業などの協力を仰ぎながら、ヒアリング調査などで実態を把握して研究課題を見つけ出します。
グローバル化が急速に進む現代において、多文化共生への取り組みは必要不可欠な社会課題です。外国人との共生には、労働契約、国際結婚、教育、医療など、法的な問題がたくさん存在します。文献や Web サイトの情報だけでは知りえない政府機関や企業の実態に触れ、大きなショックを受けるとともに、研究の意義を感じました。実社会で日々真剣に社会課題に向き合ってこられた方々から得た知見を踏まえて、学生が主体的に解 決策を検討することができるのは、このプログラムならではの学びです。
法政アクティブリサーチでは、クラスの仲間との話し合いの機会が多くあります。自分では考えつかないような仲間の意見に刺激を受けることもあり、物事を多角的にとらえる力を得られます。また、豊富な発表の機会をとおして、仲間の意見をまとめる力やプレゼンテーションの能力を養うこともできます。さらに、地方自治体や企業へのヒアリング調査を行うのに必要なビジネスマナーを習得するためのマナー講座が開講されています。普段の講義では学べない、社会人になれば当然のように求められる能力やマナーを磨けるのも、この取り組みの魅力の一つです。
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毎年、政治系のゼミが一堂に会して研究成果を報告する「政治系ゼミ討論会」では、ゼミ同士の意見交流をとおしてそれぞれの知識をシェアし、社会課題への視野を広げます。
久下 聡太さん
3年生(京都府立西舞鶴高等学校 出身)
羽渕 有稀さん
3年生(奈良県立橿原高等学校 出身)
「政治系ゼミ討論会」は、ゼミごとにテーマを決めて 2 ~ 3 年生で協力して共同研究に取り組み、その成果を発表し合います。ほかのゼミの学生や先生方との質疑応答で意見交流をしながら知識を共有し、お互いの研究内容にフィードバックしていきます。年に一度、ゼミ同士の交流の場であり、自分たちの研究に対してさまざまな視点からコメントやヒント、アドバイスなどをもらえる、とても貴重な機会となっています。
各ゼミが自由に設定したテーマの研究内容をそれぞれが持ち寄るため、多種多様な社会問題がクローズアップされます。他のゼミの報告内容も拝聴し、お互いに意見を交わし合うことで、社会課題に気づき、自分ごととして考えられるようになります。取り扱われる課題は、簡単に解決方法が見つかるようなものではなく、討論すべき対象として必然的に議題になっているともいえます。その場の思いつきや思い込み、感情などによって結論を急がずに冷静に思考し、問題となっている事柄の因果関係を明らかにするプロセスが、社会課題の解決に有効なアプローチです。
社会課題というと、非常に重大で他人事のように感じてしまいがちです。しかし、実は私 たちの暮らしと地続きの身近なものだという事実を、政治系ゼミ討論会で改めて実感しました。社会課題の範囲は、国や世界のような広域だけでなく、小さなコミュニティも含まれます。そのため、私たち一人ひとりが日頃から関心をもち社会課題を知ろうとする姿勢が、必要不可欠です。周りの人と対話を重ねて視野を広げ、できることから少しずつ行動を起こしていく。その実践の積み重ねが、社会課題の解決につながるに違いありません。
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川上 桃佳さん
3年生(伊丹市立伊丹高等学校 出身)
憲法や民法とは異なり、行政法という特定の法律はありません。行政 法とは、行政に関して数多く存在する法律の総称です。本多ゼミでの 学修をとおして、このことを初めて知ったときは、対象となる法律の 範囲の広さに驚きましたが、行政法を学ぶことで、行政活動が適正に 実行されるために、どのような制度が整備されているのかがよくわか りました。また、行政と市民の関わりや仕組みを学ぶなかで、行政の活 動や構造にも深い興味が生まれました。そこで選んだ卒業論文のテー マは、「子育て支援」です。子育て支援と一口に言っても、子育てと仕 事の両立、金銭面での支援、里親支援などその範囲は広く、日本国民が 最も注目している問題の一つでもあります。関連し合う行政の課題に 対して、多様な角度から解決策を模索できるのが、このゼミの魅力だ と感じています。公務員をめざす人に最適です。
米澤 翔一さん
3年生(徳島県立城南高等学校 出身)
地方出身の私は地域活性化に関心があり、地方自治体と行政法がテーマである本多ゼミを選択しました。ゼミ紹介で先生がおっしゃった「道を歩けば行政法に当たる」ということばに導かれて行政法を学び始めましたが、学んでいくうちに、行政法は私たちの生活に密接に関連している学問だと確信しました。卒業論文のテーマは、「ふるさと納税の税収制度について」です。今まで私は、ふるさと納税は国民にとって良い制度であり、財の分配面から見ても地方創生に良い影響を与えているので、この制度をもっと活用していくべきだと考えていました。しかし調べていくうちに、この制度は税収の観点から見て、不公平な面もあるのではないかと疑問をもつようになりました。私は国税専門官を志望しているので、社会と税について詳しく勉強することができたことがゼミ活動での大きな収穫です。
三木 紗也佳さん
4年生( 大阪府立山田高等学校 出身)
民法は、雇用契約や賃貸借契約など私たちの暮らしに関わっており、同性婚や LGBT とも関連の深い法律です。若林ゼミを選んだのは、民法への理解が、自分自身のより良い暮らしにつながると考えたからでした。過去の判例をもとに議論を行う一方、活動の一環として、全国各地の大学の民法ゼミが集う「インターカレッジ民法討論会」にも参加しました。問題解決に有効な法律論を立てるという課題に 1 ヶ月間取り組むなか、ゼミ内で議論がまとまらず、さまざまな困難を経験しました。しかし最終的には全員でプレゼンと質疑応答をやり遂げることができ、達成感を得られました。ゼミ活動を通じて、身の回りの問題に興味をもつことが習慣になり、自主的に考える力や発言力が身につきました。自分が追究したいテーマも見つかり、卒業研究は「選択的夫婦別姓制度の導入について」と題して探究を深めます。
岸 宏亮さん
3年生(京都府立北嵯峨高等学校 出身)
若林ゼミは、学生主体で授業を行うのが特徴です。『 民法判例百選 』から自分たちが興味のある判例を選び、全員で議論して民法への理解を深めます。学生自らの関心、問題意識をスタートにするので、毎週さまざまな意見が飛び交います。自分では思いつきもしなかった考え方や視点をたくさん得られるのが、このゼミのおもしろいところだと感じています。私自身このゼミを選んだのは、法曹の世界に興味があり、ディスカッションをとおして民法を探究する授業形式に惹かれたからでした。意見がぶつかったとしても、お互いが納得のいく解決策を模索し合ううちに、法的思考力、双方の利害を調整する力が養われます。こうした力は、今後どのような道に進んでも役に立つスキルであり、法曹をめざす私にとって大きな強みになると確信しています。今後もさらに民法への学びを深め、夢を実現したいと思います。