法学部を盛り上げたいと考える学生有志が集う、企画・広報団体「LeD’s(レッズ)」。
学生自らが企画・立案したイベントの運営をとおして、法学部の学びの魅力を学内外へ発信しています。
植田 涼介さん
3年生(大阪府立佐野高等学校 出身)
中平 朋さん
3年生(鹿児島県立鹿屋高等学校 出身)
川上 桃佳さん
2年生(伊丹市立伊丹高等学校 出身)
私たちLeD’s(レッズ)は、法学部の魅力を学内外へ発信し、多くの方に認知してもらえるよう学生自身が企画・立案したイベントなどを開催しています。近年注目を集めているSDGs(持続可能な開発目標)の啓発や、若者の投票率低下など、身近な社会問題にも積極的に取り組んでいます。私たちが今回企画したのは、SDGsの啓発活動でした。2015年の国連採択以降、その名前は周知されつつあるものの、SDGsの内容や意義まで深く理解している人は決して多くありません。そんなSDGsについて地域の小学生にも知ってほしい、楽しみながら理解を深めてほしいと思ったのが、深草の伝統工芸品である「竹うちわづくり」イベントを開催するきっかけでした。
SDGsに掲げられている17の目標のうち今回テーマに取り上げたのは、「つくる責任・つかう責任」「海の豊かさを守ろう」「陸の豊かさも守ろう」の3つでした。SDGsと聞くと難しいように思われがちですが、実際はとても身近な問題です。ただ、座学で学ぶとなると、小学生は退屈に感じてしまうかもしれません。そこで私たちは、竹うちわづくりのほかにもSDGsに関する簡単なクイズを用意するなど、楽しく学ぶことに重点を置き、工夫を重ねました。実際に竹の香りや手触りを体感しながら製作するなかで、自作のうちわへの愛着が生まれたのか、大切に使おうという姿勢が見受けられました。プラスチック製品を使うのが当たり前になっている小学生が、プラスチックごみをはじめとする環境問題に目を向け、自分たちに何ができるかを考えるきっかけになってくれれば、嬉しい限りです。これからも身近な社会課題を広く発信し、周囲の方々を巻き込んだイベントを開催できればと思っています。
このイベントを開催するにあたり、私たちは計画の練り直しからスタートしなければなりませんでした。というのも、2020年に蔓延した新型コロナウイルス感染症の影響を受け、2年間ずっと停滞していたイベントだったからです。企画の対象者が小学生ということもあり、感染対策の徹底や保護者へ情報を周知する手段など、コロナ前までは考えもしなかった課題が山積みで、試行錯誤を繰り返しました。イベントの周知をお願いする小学校にも何度も足を運び、校長先生や教頭先生と協議を重ねたり、申込書の配布をお願いしたりと、準備だけで半年もの時間を要しました。しかし、この一連の大変さを味わっていなければ、きっと主催者側の苦労を知ることはできなかったでしょう。一つのイベントが開催されるまでには、多くの時間と周到な準備が必要なのだと、身をもって知る貴重な経験でした。
小学生向けのイベントながら、企画者である私たちも、SDGsへの理解がより深まりました。同時に、自然資源の活用法や伝統工芸品の後継者不足など、新たな課題にも気づけました。また、今回の体験をとおして、仲間と協働することの大切さも改めて学びました。特に準備期間中は多くの課題に直面して、行き詰まるたびにみんなで相談し、知恵を出し合ったものです。ともに悩み考える仲間がいなければ、途中で諦めていたかも知れません。幹部数名を中心に、同じ目標へ向けて力を合わせたからこそ、実現できたイベントなのだと、仲間や支え協力してくださった方々への感謝の気持ちでいっぱいです。この経験はきっと、今後の学生生活、ひいては、将来においても大きな自信になると確信しています。
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法政アクティブリサーチは、社会課題を解決する取り組みに、学生が主体的に参加する授業です。学外の各種団体や自治体、法人などにヒアリング調査を行い、自分たちで解決策を模索、提案していきます。今回は、「香り」とまちづくりについて調査を実施しました。
鈴木 啓太さん
2年生(奈良県立奈良北高等学校 出身)
小野 愛実さん
2年生(大阪府立山田高等学校 出身)
大木 のぞみさん
2年生(奈良県立橿原高等学校 出身)
法政アクティブリサーチは、自分たちでテーマを設定し、行政機関や自治体、企業にヒアリング調査を行い、成果を学内外に発信する学生主体の取り組みです。私たちのグループは、「かおり・においと環境」という視点からの「まちづくり」に着目し、調査研究を行うことにしました。まちづくりというと観光名所や特産品など視覚・味覚に訴えるアプローチが一般的ですが、嗅覚に働きかける地域活性化も可能なはずです。そこで、間伐樹木を活用した精油などによる商品開発や体験プログラムを通じて「香り文化」の推進に取り組んでいる富山県中新川郡上市町を、ヒアリング先に選びました。
上市町は、人口減少や少子高齢化、農林業の後継者不足、未整備森林の増加といった問題を抱えています。それらの解決策の一環として「『香り文化』推進プロジェクト」を実施し、住民や事業者の方々が連携してまちづくりをすすめています。今回その活動を調査することで、地域の特性や資源を活かした取り組みこそ、雇用の創出や地場産業の繁栄の鍵であるとわかりました。特に、ヒアリング調査から学んだことは大きいと感じます。社会課題に向き合っている方のお話を聞き、座学だけでは知ることのできない貴重な知見を得られましたし、アポイントやメールのやり取り、現地での振る舞いなどの社会人として必要なマナーも身につきました。また、チーム内で自分が何をすべきか見定める判断力も養われました。一方、こちらの事前準備が不十分で聞きたいことを質問しきれなかったという後悔もあります。ヒアリング調査を充実させるには、「なぜそれを調べるのか」「なぜそれを尋ねるのか」を考え抜いておかねばならないと痛感しました。そういった反省点も活かしながら、今後も引き続き地域課題に取り組んでいきたいです。
日本の各地域には、認識はされているものの危機感が共有されていない問題や、まだ認知すらされていない問題など、社会に不利益をもたらすさまざまな問題が数多く存在します。そういった事柄を課題としてとらえ解決につなげるには、「知ること」から始める必要があります。私たちは法政アクティブリサーチを通じ、上市町が直面している困難を知りました。現地まで足を運び、企業や自治体の方々にお話をうかがい、地域の取り組みについて理解を深めることで、課題解決に向けた考え方がおのずと身についたように感じます。
上市町のまちづくりの必要性や「香り」という資源活用の背景を調査することで地域活性化への理解が深まり、さまざまな視点から物事をとらえる力が身につきました。
法政アクティブリサーチでは学生自ら現地を訪れてお話をうかがいますが、事前に綿密な下調べをする必要があります。大変な作業ですが、苦労して得た知見は、今後の人生でも必ず役立つと思います。ヒアリングで役場の方々の思いなどを知り、上市町により親近感が湧くとともに、地域の問題を自分事として考えるようになりました。人口減少や少子高齢化による地域衰退は、全国共通の課題です。私たちがヒアリング調査を行い発表することで、少しでも多くの人や地域に上市町の取り組みが伝わり、社会課題を解決する一助になればうれしいです。
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京田 愛花さん
4年生(岡山県 岡山学芸館高等学校 出身)
私は、犯罪学や犯罪心理学を中心に研究しています。人はなぜ犯罪を犯し、どのように更生するのか。社会復帰に至るまでの心理に関心を抱いたからです。ゼミではグループに分かれ、犯罪白書をもとにテーマを設定し、現代の犯罪の特徴や処遇方法をレポートにまとめて発表します。定期的なメンバーの入れ替えにより幅広い分野に触れることで、自分の興味対象が絞られ卒業論文につなげていきます。そのような学びをとおして、私が卒業論文のテーマに選んだのは、少年犯罪です。更生や再教育などを目的とする少年法は、教育法・福祉法の役割も担っています。非行少年が罪を犯す理由や再犯を抑止する処遇など、少年犯罪に関する専門的な学びは、法務教官という夢をもつきっかけにもなりました。担当教員の専門的な指導のもとで今後は日本の刑罰に対する国際的な視点も養い、夢の実現をめざします。
松下 明日香さん
4年生(大阪府 大阪教育大学附属高等学校 天王寺校舎 出身)
浜井ゼミでは、犯罪白書などを活用して犯罪が起こる割合や犯罪者への処遇方法を調査し、どうすれば犯罪が減るか、再犯を防ぐにはどんな政策が有効か、自分なりの結論を導き出していきます。研究をすすめるなかで、非行少年や犯罪の当事者に対して自分はいかに勝手なイメージをもっていたのかと驚き、少年法に対する考え方も覆されました。少年院と刑務所の違いや少年への処遇方法を科学的に検証するなかで、適用年齢の引き下げや厳罰化が必ずしも犯罪の減少に結びつくのではないとわかりました。そんなゼミでの学びから、18〜19歳の少年への処遇が社会に与える影響に着目し、卒業論文は「少年法適用年齢引き下げは適切であったのか」をテーマに選びました。誰もが無意識にもつ誤ったイメージや決めつけを取り除き、事実ととことん向き合うことが犯罪や再犯の減少につながると考えます。
椿本 知央さん
3年生(大阪府立住吉高等学校 出身)
近代日本の政治に強い関心があり、日本政治史が専門の瀬畑ゼミを選びました。特に印象深いのが、全国紙5紙と沖縄地方紙2紙における沖縄基地問題の取り扱い方をテーマにした、2年次後期の合同報告会です。各新聞の社説を一つずつ読みながら調査することで、全国紙と地方紙の違いだけでなく、5紙間・2紙間の論調や立場の差異も発見できました。膨大な量の情報を整理して分析する作業は大変でしたが、やり切ったときはとても達成感があり、貴重な経験を得られたと感じています。その後も沖縄について、歴史や観光産業も含めてみんなで考察をすすめています。少人数だからこそ時間をかけて輪読や報告、議論を行える密度の濃さや、瀬畑先生のサポートの細やかさも、本ゼミの特徴です。これまでの取り組みをとおして身についた幅広い知識や資料の選び方を、今後の卒業研究にも活かしていきます。
沖野 翔太さん
4年生(大阪府立布施高等学校 出身)
日本政治史を研究するゼミを選んだのは、与党と野党が対立する政治問題に強い関心をもっていたからです。コースは「現代国家の法」コースを選択し、ゼミでは、戦前・戦後の歴史問題や、沖縄の米軍基地問題から派生する日米安全保障条約、天皇制など幅広い領域を学んでいます。興味深いのは、諸問題に対する論点や主張が、人によって大きく異なる点です。特に天皇制への意見は、戦前から戦後、そして現代まで変化があり、時代を超えてさまざまな賛否が存在します。そこに焦点をあて、卒業論文では「天皇制の今後について」というテーマを掘り下げていきます。歴史を遡りながら賛否それぞれの主張を考察するなかで、どのような見解を得られるのか。絶対的な正解のない政治的なテーマをいかにとらえるのか。ゼミでの学びを活かした柔軟な視点に立ち、自分なりの考え方を構築したいと考えています。