学部長メッセージ

学生の皆さんへ

皆さんは、龍谷大学法学部の学生として、法学や政治学、その他様々な学問を学ぶことになります。ここでは、「何のために大学で学ぶのか」について考えてみたいと思います。

法学部の教育制度としては、カリキュラムに従って各科目を学び一定の単位を積み上げることが卒業のための要件とされていますから、形式的には卒業するために学ぶといえます。しかし、皆さんの多くは、卒業そのものが目的であるというより、卒業後に想定される社会人としての生活や生き方との関係で、特に、将来の職業との関係で、大学で学ぶことの意味を考えている、あるいは考えようとしているのではないでしょうか。たとえば、将来公務員として働きたいのでそれに役立つ法律や政策に関する勉強をしようとか、法曹を目指して法科大学院に進学するために勉強しようとか、または、製造・流通・通信・金融など様々な企業に就職して活躍したいなど、皆さんが希望する職業を想定して、どのようにしてそれを実現していくか、そのためにはどのような勉強をする必要があるかを考えるのでしょう。これから社会に出て行く皆さんが、将来の生活を立てていくための職業とその確保について考えるのは当然であり、それは自立していくために必要なことでもあります。

しかし、大学で学ぶことの意味は、将来の就職や生活のためだけではなく、もう少し広く捉えるべきではないでしょうか。今日の日本の社会は、かつてのような経済成長を望みえなくなる一方で、様々な格差が拡大し、社会保障や福祉のレベルも低下するなど多くの困難な問題を抱えています。このように社会のあり方への新たな展望が見えにくい時代において、皆さんは、大学を卒業した後、自立した市民として社会を担い、また、これからの社会をどのように築いていくのかという課題にも向き合っていくことになります。皆さんは、そのために必要となる基礎的な力を、大学での学びの中で培っていく必要があるのです。

たしかに、このことは、簡単なことではありません。たとえば、政治学者の丸山眞男は、「われわれは『価値から自由な』観察と、積極的な価値の選択の態度を、ともに学びとらねばならぬという困難な課題に直面している」と述べています。このことを大学での学びという観点から敷衍して言うと、われわれの周りには、多くの「常識」や「正しいこと」がありますが、皆さんには、これらを当然のものとして無批判に受け入れるのではなく、まずは疑い、そして、できるだけ価値中立的に分析したうえで、主体的に自分の考えを確立することが必要なのです。そのためには、多くの書物に接し、また、教員や学生同士で学問的な議論を重ね、さらに、自分とは異なる考えにもしっかりと耳を傾けながら、思索を深めることが求められます。そして、こうした深い思索の先に、社会が直面する困難な課題を克服するための柔軟な発想が生まれるのではないでしょうか。

皆さんの人生の中で大学生の時期は、様々なことに挑戦し、また、広い視野をもちながら深く考えることのできる貴重な時期です。皆さんが、龍谷大学法学部でこうしたことが経験できるように、私たち教職員も皆さんとともに歩んでいきたいと思います。

2016年4月
法学部長 橋口 豊

法学部長 橋口 豊

このページのトップへ戻る